OT Magazineをはじめます

Thriver Projectの中に、新しく「OT Magazine」を立ち上げます。

OT Magazineは、作業療法について学び、考え、日々の実践へつなげていくためのWebマガジンです。

作業療法には、さまざまな理論やモデル、評価法、実践方法があります。書籍や論文、研修会、動画などを通して、以前よりも多くの知識に触れられるようになりました。

けれども、知識が増えれば、そのまま実践がよくなるとは限りません。

理論の概要は知っている。用語の意味も説明できる。それでも、目の前の人をどのように理解し、何を評価し、どのように支援を組み立てればよいのか分からなくなることがあります。

作業に焦点を当てるとは、実際には何をすることなのか。クライエント中心の実践は、どのような条件のもとで成り立つのか。評価で得られた情報を、どのように臨床推論へつなげればよいのか。

作業療法を学び、実践していると、こうした問いに何度も出会います。

OT Magazineでは、そのような問いを出発点にして、作業療法の理論、実践、教育、臨床推論について考えていきます。

知識を、実践で使える理解へ

作業療法に関する情報は、いまでは簡単に手に入ります。

一方で、情報が増えるほど、何を信頼し、どのように理解し、実践へ取り入れればよいのかが分かりにくくなることもあります。

新しい理論や評価法を知っても、それを使うこと自体が目的になってしまえば、目の前の人の生活から離れてしまいます。反対に、経験だけを頼りに実践を続けていると、自分の判断の癖や限界に気づきにくくなります。

理論と実践のどちらか一方が重要なのではありません。

理論を通して実践を捉え直し、実践を通して理論の意味を確かめる。その往復が必要です。

OT Magazineが目指すのは、その間をつなぐことです。

単に知識を紹介するのではなく、その考え方が何を捉えようとしているのか、どのような場面で役立つのか、どのような限界があるのかまで丁寧に整理します。

理論を実践から切り離さず、実践を個人の経験だけに閉じ込めない。そのための学びの場にしたいと考えています。

OT Magazineで扱うこと

OT Magazineでは、作業療法の理論やモデル、作業に焦点を当てた実践、評価、臨床推論、教育、専門職としての学び方などを扱います。

MOHO、CMOP-E、CanMOP、OTIPMをはじめとする作業療法の理論やモデルについても、それぞれの特徴を紹介するだけではなく、何が共通し、何が異なるのかを考えていきます。

ある理論は人間の意志や習慣を詳しく捉え、別の理論は作業参加や環境との関係を重視します。それぞれの理論が異なるのは、どちらかが正しく、どちらかが間違っているからではありません。

何を明らかにし、どのような実践を支えようとしているのかが異なるからです。

その違いを理解できれば、理論を機械的に当てはめるのではなく、目の前の状況に応じて使い分けられるようになります。

学生や若手の作業療法士にも理解しやすく、それでいて経験を積んだ人にも新しい視点が残る内容を目指します。

簡単な説明だけで終わらせず、かといって専門用語を並べるだけにもならない。その間を丁寧につなぐ記事を積み重ねていきます。

ほかの媒体との違い

僕は現在、OT Magazineのほかに、Research Magazineと「京極真の思想ノート」を運営しています。

Research Magazineで扱うのは、研究計画、研究方法、データ分析、質的研究、量的研究、アカデミックライティングなど、研究を進めるための知識と方法です。

一方、「京極真の思想ノート」では、作業療法や研究という専門領域に限定せず、人間、社会、自由をめぐる問いについて考えています。

それに対してOT Magazineは、作業療法そのものを中心に扱う媒体です。

作業療法の理論、実践、教育、臨床推論を取り上げ、専門的な知識を現場で使える理解へつなげていきます。

簡潔に分けるなら、次のようになります。

OT Magazineは、作業療法を学び、実践するための場所です。

Research Magazineは、研究を学び、進めるための場所です。

思想ノートは、人間、社会、自由について考えるための場所です。

扱う中心は異なりますが、三つの媒体が完全に切り離されているわけではありません。

作業療法の実践をよりよく理解するためには研究が必要です。研究を意味のあるものにするには、実践との接点が欠かせません。そして、作業療法について深く考えることは、人間がどのように生き、社会の中でどのように生活を形づくるのかを考えることにもつながります。

それぞれの役割を明確にしながら、必要なところで互いにつながる媒体として育てていきます。

作業療法について考え続けるために

僕はこれまで、作業療法の教育、研究、実践に関わってきました。

その中で感じてきたのは、作業療法は、一度理解したら終わるものではないということです。

人は変わります。生活環境も変わります。社会制度や価値観も変わります。作業療法に求められる役割も、時代とともに変化します。

だからこそ、作業療法とは何か、何を大切にする専門職なのかを、繰り返し考える必要があります。

作業療法の専門性を守ることと、これまでの考え方を変えないことは同じではありません。

大切にすべきものを見失わないためにも、理論や実践を学び直し、これまで当然だと思っていたことを問い直す必要があります。

OT Magazineは、完成した答えを一方的に示す場所ではありません。

作業療法に関する知識を学びながら、その意味を考え、再び目の前の人の生活へ戻っていく。その往復を続けるための場所です。

作業療法を学んでいる人、実践している人、教えている人が、それぞれの立場から考えるきっかけを届けていきます。

これから、どうぞよろしくお願いいたします。

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