著者:京極 真
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本記事では「理論研究の方法に関心がありますが、研究法の本を見てもよくわかりません。理論研究の方法について教えてください」という質問にお答えします。
本記事の内容
理論研究の方法に入門する前に
【入門】理論研究の方法
理論研究の方法については、以下の動画でも解説しています。
理論研究の方法について解説する前に、理論研究について解説しておきます。
結論をいうと、理論研究は、概念や前提、理論の構造を根源から問い直し、それを明確化、修正、統合したり、新しい理論を構築したりする研究です。
理論研究と対になる研究として、実証研究があります。
理論研究と実証研究は車の両輪であり、学術を推進するためには両方が必要です。
実証研究はとてもパワフルな方法ですが、研究の前提となる概念や理論そのものに問題がある場合、それに依拠した実証研究だけでは根本的に解消できないことがあります。
学術活動の前提そのものに問題があるときは、理論研究が必要です。
理論研究は前提を根底から問い返し、よりよいかたちで再構成することができるからです。
つまり、理論研究で「何をどのように考えるのか」を整え、実証研究で「実際にどうなっているのか」を確かめる。
両者を行き来することで、研究は前に進みやすくなります。
理論研究と実証研究の比較は、別の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。
理論研究には利点だけでなく、欠点もあります。
それをさくっと示すと以下の通り。
利点と欠点
利点:理論上のアポリアを直接取り扱うことができる。概念や前提、理論構造そのものの問題は、実証研究だけでは解決できないことがある。
欠点:研究者の思考と論証の質に大きく依存する。データだけで結論を支えることができないため、論理の飛躍や前提の見落としに十分注意する必要がある。
この目的を達成するための基本手続きは、他の研究と大きく変わりません。
理論研究の基本手続き
1. 研究課題の設定
2. 研究デザイン
3. 研究の実行
4. 論文化
まず、「既存の理論のどこに、どのような問題があるのか」という研究課題を明確にします。
次に、その問題を解明するために、どのような資料を使い、どのような方法で分析・論証するのかを研究デザインとして定めます。
そして、実際に分析と論証を行い、その過程と結論が読者にも吟味できるように論文化します。
理論研究にはさまざまなアプローチがあります。
本記事では、理論研究で活用できる方法を以下のように整理します。
理論研究の方法
原理的思考
歴史分析法
概念分析法
理論統合法
理論修正法
理論継承法 など
この中でも、本記事では原理的思考を基礎に置きます。
原理的思考とは、特定の観点から論理的に考える限りにおいて、共通了解しうる可能性の理路を見いだす方法です。
具体的な手続きは以下の通り。
原理的思考のポイント
手順1:関心を定める
手順2:判断停止する
手順3:構造が成立する条件を問う
手順4:構造成立の条件を吟味・洗練する
手順5:共通了解可能性を担保するために論証する
ポイントは、自分が当然だと思っている前提をいったん横に置き、「そもそも、なぜそう言えるのか」「それが成り立つためには何が必要なのか」と問い直すことです。
詳細は以下の論文をご参照ください。
そのうえで、研究目的に応じて、歴史分析法、概念分析法、理論統合法、理論修正法、理論継承法などを活用していきます。
簡単にいうと、歴史分析法は、ある概念や理論が歴史的にどのように成立し、変化してきたのかを分析する方法です。
概念分析法は、曖昧に使われている概念の意味や特徴、他の概念との関係などを整理し、明確にする方法です。
理論統合法は、複数の理論や知見の関係を整理し、より包括的な理論的枠組みへまとめる方法です。
理論修正法は、既存理論の問題点を明らかにし、その理論をより妥当なかたちへ修正する方法です。
理論継承法は、既存の理論がもつ重要な洞察を受け継ぎながら、新たな問題に対応できるよう発展させる方法です。
実際の理論研究では、これらの方法を完全に切り離して使うとは限りません。
研究課題に応じて、複数の方法を組み合わせながら理論上の問題を解いていきます。
それぞれの方法については、冒頭で紹介した動画でも詳しく解説しています。
本記事では「理論研究の方法に関心がありますが、研究法の本を見てもよくわかりません。理論研究の方法について教えてください」という質問にお答えしました。
理論研究は、概念や前提、理論の構造を根源から問い直し、それを明確化、修正、統合したり、新しい理論を構築したりする研究です。
本記事では、そのために活用できる方法を以下のように整理しました。
理論研究の方法
原理的思考
歴史分析法
概念分析法
理論統合法
理論修正法
理論継承法
理論研究はパワフルな方法ですけども、これ単体ですべての問題を解決できるわけではありません。
理論研究によって概念や前提、理論を整え、必要に応じて実証研究によって検討する。
逆に、実証研究から見えてきた問題を理論研究によって問い直す。
そんなふうに、理論研究と実証研究を柔軟に行き来することが大切です。
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