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研究論文は、学術的な知識や発見を共有するための重要なコミュニケーションツールです。しかし、研究論文を書くことは容易ではありません。特に、「結果」セクションは、研究者が行った分析や実験から得られたデータや知見をどのように提示するかによって、読者が研究内容や価値を理解する上で大きな影響を与えます。そのため、「結果」セクションは、明確かつ簡潔な方法で研究結果を報告することが求められます。
しかし、「結果」セクションを書く際には、多くの課題や困難があります。例えば、
これらの問いに答えることは、初学者(大学院生や駆けだしの研究者など)にとっては特に難しいかもしれません。そこで、この記事では、「結果」セクションを書く際に役立つヒントやテクニックを紹介します。
この記事では、「結果」セクションを書く際に一般的に用いられるフォーマットであるIMRaD(Introduction, Methods, Results, and Discussion)に沿って説明します。IMRaDは、研究論文の構成要素として以下の4つのセクションからなります。
この記事では、「結果」セクションに焦点を当てていますが、「序論」「方法」「考察」セクションについても知りたい方は、私の以下の連載論文もお読みください。
また、IMRaDを包括的に理解したい方は以下の関連記事をお読みください。
IMRaDの「結果」セクションは、研究者が発見した新しい研究結果を明確かつ簡潔に示す場所なので極めて重要です。読者があなたの研究を理解・評価したり、研究結果の信頼性を評価したりできるようにするために、できるだけ透明で正確に結果を報告することが重要であり、「結果」セクションはその求めに応じるところです。
また、十分な「結果」セクションは、研究者が望むような結果になったかどうかは別にして、「序論」セクションで示した問題に対する解答を明確に提示したものになります。逆に、不十分な「結果」のセクションは、問題に対してどのような解答が導きだされたのかがわかりにくいものです。したがって、問題に対応させるかたちで研究結果を明確かつ正確に示すことが重要です。
以下はそのためのヒントになります。
他のセクションと同様に、執筆前の準備として、①学術誌の決定、②報告ガイドラインの入手、③研究論文の確認を行ってください。本記事はそれができたものだと仮定して、いくつかのヒントをStep by Stepで解説します。
結果を書くときは、いきなり本文を書かず、先に図表を作成してください。図表はそれ自体で理解できるように、書式に一貫性を持たせて、適切なラベルやキャプションを使用して内容を明確にすることが重要です。また、詳細な結果は図表で表すようにしてください。
図表は、データや分析結果を視覚的に伝える効果的な方法です。しかし、図表を作成する際には以下の点に注意してください。
次に「結果」セクションの見出しを作成しましょう。見出しは、読者に結果がわかりやすく伝わるようなものにしてください。見出しは、以下の点に注意して作成してください。
図表を作成し、適切な見出しを設定したら、本文を書いていきます。本文では、以下の点に注意して書いてください。
アウトライン化とは、執筆する内容を大まかに整理することです。アウトライン化は執筆プロセスにおける重要なステップであり、IMRaDの「結果」セクションを書く際にも特に有効です。なぜなら、「結果」セクションでは、あなたの研究で得られたデータや分析の結果を読者に伝える必要があるからです。そのため、「結果」セクションがどのような構成になっているか、どのような情報を含んでいるか、どのような順序で提示するか、といったことを事前に考えておくことが重要です。
アウトライン化の方法はさまざまですが、一般的には以下のような手順で行います。
アウトライン化を行うことで、「結果」セクションがよくまとまったものになり、読者があなたの研究の結果を十分に理解できるようになります。また、アウトライン化を行うことで、テキストを書く際にもスムーズに進めることができます。アウトラインからテキストへの展開は、以下のようなポイントに注意しながら行います。
以上のように、「アウトライン→テキスト」という順で書くことで、研究論文の「結果」セクションが読者にとってわかりやすく魅力的なものになります。IMRaD形式で「結果」セクションを書く際は、ぜひこの方法を試してみてください。
IMRaDの「結果」セクションの目的は、あなたの研究で発見した事実を提示することです。強調したい重要なポイントに明確に焦点を当てましょう。
「結果」セクションには、収集したデータの要約、図表などでまとめた詳細な分析結果、重要なポイントを述べた本文が含まれます。読者が理解しやすいように論理的でわかりやすく記述する必要があります。
「結果」セクションでは、データの解釈や結論を述べないでください。これは「考察」セクションで行うべきことです。また、「方法」セクションで示していない方法でしか得られない結果を示さないでください。それを書きたければ、「方法」セクションから加筆修正する必要があります。
IMRaD の「結果」セクションは、研究結果を明確かつ簡潔に示す、研究論文の重要な構成要素です。これらのヒントに従い、データを明確かつ正確に示すことで、読者が研究結果を理解、解釈するために必要な情報を提供することができます。IMRaDの「結果」セクションが充実していれば研究で明らかになった知見が明確になり、「考察」セクションにうまくつなげることができます。
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京極真、博士(作業療法学)、作業療法士。
Thriver Project代表。吉備国際大学ならびに同大学大学院・教授(役職:保健科学研究科長、人間科学部長、他)。首都大学東京大学院人間健康科学研究科博士後期課程修了。2022年から2023年にかけて、全12回からなる連載『基礎から始める研究論文の書き方講座』(三輪書店)を執筆した。また『作業で創るエビデンス』(医学書院)の編著者のひとりであり、質的研究、理論研究、観察研究、尺度開発、統計を執筆した。その他、著書、研究論文多数あり。
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